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医療・福祉経営アイデア図鑑
  〜ユニークな創意・くふうが医療・福祉施設を活性化させる

(ケース⑥)医療機関と地域社会のコラボで「こころのバリアフリー」を実現

 宮崎市で地域に「開かれた」精神科医療を行う施設として知られる細見クリニック。同市内に在るレトロ調の画廊喫茶「シベール」は宮崎在住のアーチストや文化人が常連客として集まるカルチャーの情報発信基地のようなお店だが、同クリニックの認知症デイケア「街のオアシス」には、これらの人たちがボランティアとして多数参加する。月に1回、20名前後のデイケア利用者とスタッフが連れ立って「シベール」に出向き、約1時間に亘り楽器の生演奏や歌、マジック等の催しを楽しむ。利用者とPT、OTらのスタッフは席にいるが、「シベール」の常連客も次々にやってきて、カウンター席に着き共に楽しい時間を過ごす。ここでは認知症患者と健常者のふれあうスペースが、ごく自然な形で創りだされているのが印象的。地域社会と医療機関のコラボレーションによる、「こころのバリアフリー」の具現化と言えるのかもしれない。

(ケース⑦)健診と“阿波踊り”がドッキング

 徳島市内の高度急性期医療を担う徳島赤十字病院では、救急患者の多くが脳卒中や脳梗塞、心筋梗塞等の疾患で占められ、これらの病気予防のために動脈硬化のスクリーニングを徹底して行うことになったのだが、地元で盛んな“阿波踊り”とドッキングさせた新しい健診企画の実施がスタッフから提案された。
 同院のある職員は市民ランナーであるが、マラソン仲間には70〜80歳代の高齢者も何人かいるが、若い時から“阿波踊り”を楽しんできたので足腰も強く、動脈硬化等の不安もなく健康を維持していたことからヒントを得た。
 具体的には「一泊二日の循環器ドックを受けて、その後、阿波踊りを満喫しませんか!」という内容。昼間は循環器ドックで動脈を徹底チェックし、夜はホルタ―心電図を装着して、“阿波踊り”を楽しみながら健診を受けようというものだ。阿波踊り健診は年間を通して提供されるが、8月12〜15日の徳島市阿波踊り開催期間で日赤連が踊りに出る日は、患者は同院の医師や看護師らと一緒に“阿波踊り”を楽しむことができる。
 この独創的な健診企画に対して、同院では「“踊る血管!”阿波踊り健診」というキャッチコピーをつけ、専用サイトを開設。プレスリリースを送付し、テレビや新聞等多くのメディアで報道されたことから、病院職員の参加意識も高まり、病院全体が一丸となった取り組みへと盛り上がっていった。

(ケース⑧)警察OB4名が「病院の交番・お巡りさん」

 近年、患者の権利意識をはき違えたクレイマーや、モンスターペーシェントと呼ばれる患者とのトラブルが急増している。例えば飲酒による暴言や暴力、病院敷地内での喫煙や盗難事故、盗撮等、過去には考えられないような悪質な事件が多くの病院で発生しているとの報告もある。
 東北地方のI病院では2010年4月から、警察OB4名が安全対策主任を務め、病院内の保安・防災を担当している。同院の広報誌によると、何れもが「警察官時代にセクハラ・DV等の生活安全部門をはじめ、交通事故・交通安全、様々な犯罪の事件捜査等を幅広く経験した」ベテラン揃いだという。日頃から「防犯」の腕章を付けて、巡回等をしており、病院職員や患者からの相談に関しては何時でも、気軽に受け付ける。
 医療従事者が安心して働くことができ、患者が安全に療養できるように「病院の交番・お巡りさん」として、日夜、頑張っている。