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[事例研究レポート]在宅医療の地殻変動
  〜「在宅」も機能分化と連携の時代に

診療報酬では「在宅医療」に新機軸多数 2025年には在宅医療利用者を1.4倍に

 2月10日に答申された2012年診療報酬改定では、約5500億円の財源のうち約1500億円が「在宅医療の充実」に重点配分された。厚生労働省は『社会保障と税の一体改革案』で示された改革シナリオで、「施設から地域」へ「医療から介護」へとの方向性を示し、2025年の在宅医療利用者の数を、現在の1.4倍程度に見込んでいる。こうした将来像の下に、今改定では「在宅医療」を“担う”、或いは“後方支援する”医療機関に対して、数多くの新機軸を導入したのが特徴だ。初めに今改定の「在宅医療」に係わる注目すべき項目を抽出・検証すると共に、後半では事例研究として、地域で積極的に活動する在宅療養支援診療所と在宅療養支援病院(以下・在支診と在支病に略)の動きをレポートしたい。

“機能強化型”在支診・在支病が登場 「在宅」に係わる項目は軒並み高点数

 今改定の最も大きなトピックとしては、在支診と在支病に関して“機能強化型”という新しい体系が登場したこと。「24時間体制の往診・訪問診療を提供する在宅医療の窓口」として、在支診の制度は06年に制度化され、在支病は08年に誕生。2010年7月1日現在、全国で前者は1万2487施設、後者は331施設と順調に整備されてきた。
 今改定では、これまで通りの施設要件を満たす在支診、在支病に加えて、“機能強化型”在支診、在支病が誕生。要するに4種類の「在宅療養を支援する」医療施設が制度として体系化されたことになる。以下はスペースの都合で、①従来型・在支診②従来型・在支病③機能強化型・在支診④機能強化型・在支病という形で、省略して紹介させて頂く。
 ③④の施設基準は①②の施設要件にイ・所属する常勤医師3名以上 ロ・過去1年間の緊急往診実績5件以上 ハ・過去1年間の看取り実績2件以上――を追加したものだ。ロ、ハは別として、小規模診療所にとってイの条件は、極めてハードルが高いように思われるが、今回から1医療機関では無理であっても、地域の他の医療機関との「連携」によって、上記の要件を満たせば良いことになった。その場合には「患者からの緊急時の連絡先の一元化」や、「連携先医療機関間で月1回以上のカンファレンス開催」等に加えて、「連携先医療機関数は10未満」、「連携先が病院の場合は200床未満」等の要件が規定されている。
 往診料や在宅時医学総合管理料、特定施設入居時医学総合管理料、(在宅末期医療総合管理料改め)在宅がん医療総合診療料等、在宅医療に関連する重要な診療報酬項目の点数は、①②が据え置きである一方、③④に対しては軒並み高く設定されているのが目立つ。
 これまで①②ついて1万点という高点数だった在宅ターミナルケア加算は、ターミナルケア加算と看取り加算に分けて再編。一人の患者に対するターミナルケアと看取りを別の医療機関が行った場合でも、それぞれで算定可能となった。この改定によって、複数の医療施設「連携」による在宅ターミナルケアが、より進め易くなる筈だ。
 看取り加算は①②③④全て共通の3000点だが、ターミナルケア加算は③④で病床を有する場合は6000点、無床は5000点、①②は4000点、在支診・在支病以外の医療機関は3000点と段階的に差が付けられている。
 こうした診療報酬誘導を見ると、厚生労働省は「在宅医療が主流」となる2025年に向けて、1医療機関完結ではなく、様々な医療・介護サービスとの組み合せによる機能分化と連携によって、地域全体で一人の在宅患者を「最期まで支えていく」仕組みづくりを、本格的に「胎動」させたと言えよう。

85(12.12.21)