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「新しい在宅療養マーケットとしての特定施設との連携」

病床過剰地域で病院拡大よりも“在宅医療”へとシフト

  2006年の夏以降、全国各地で地域の中核的な病院がサテライトとして在宅療養支援診療所と連携し、在宅医療専門のクリニックとして機能させようとの動きが、全国的に少しずつ出てきました。もちろん緊急時の連絡体制や24時間往診可能な体制づくり、病院・訪問看護ステーションとの連携を行うには、前回述べたように、スタッフに恵まれた病院が中心となって、在宅療養支援診療所を展開するという形態が、地域における在宅医療連携システムをスムースに進めやすいとの判断はあるでしょう。もう一方でこうした病院は、実際に自ら特定施設を運営しているケースもあって、経営戦略として在宅療養支援診療所と“特定施設との連携”を念頭に置いていることは間違いありません。
 高知県南国市にある医療法人M病院は、同院を核とした地域完結型の医療・福祉ネットワークを構築しています。
 高知県は人口10万人対病院数・病床数ともに全国第一位の病院激戦区で、特に同院の位置する高知県中部の「中央二次医療圏」は病床充足率が140%を超える過剰病床地域となっています。特にこの医療圏には高知大学医学部付属病院、高知医療センター、高知赤十字病院、さらに総病床数が600床を超える医療法人グループが高知市内に3ヶ所も存在する超激戦区で、数年前から病院の増床や新規開設は不可能な状況となっています。
 Y院長は10年程前から病院ではなくケアハウス、グループホーム、有料老人ホーム等を高知県内に複数整備し、“在宅医療”に軸足を置いた展開を図ってきました。同グループでは病院の他に在宅療養支援診療所の「K診療所」(19床)、2つの介護老人保健施設(計160床)、介護老人福祉施設、グループホーム9施設、ケアハウス4施設等、関連施設も含めると1057床にも及ぶ医療・福祉グループへと発展してきたのです。
 「過剰病床で増床は出来ないという県内の医療環境を考え、本体の病院を拡大するのではなく、社会福祉法人を設立し、いち早く福祉介護事業へ転換したことが事業の発展につながりました。今後はネットワークを充実させ、在宅医療で県内トップクラスの病院を目指したい」(Y院長)。
 2006年7月より、在宅療養支援診療所が特定施設入居者に訪問診療を実施した場合に、在宅時医学総合管理料(在医総管)算定が可能になりましたが、同グループのそうした流れを前向きに受け止めています。
 同院長は今後の展開として、高知県内のいくつかの地域で低額の有料老人ホームを開設し、在宅療養支援診療所でバックアップしていくことを構想しています。