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心神喪失者等医療観察法について

1.心神喪失者等医療観察法成立の背景

(1)心神喪失者等医療観察法施行前の制度と課題

心神喪失者等医療観察法施行前の制度と課題

 心神喪失者等医療観察法が施行される前の制度では、殺人、放火、強盗等の重大な他害行為を行った者が心神喪失等の理由で不起訴処分や無罪判決になると、その者の処遇の判断は司法から医療に委ねられていました。
 医療に委ねられた者に自傷他害の恐れがある場合、つまり、精神保健指定医の診察で措置症状がある場合は、都道府県知事及び政令指定都市の長による措置入院の行政処分が行われていました。ところが、心神喪失等の理由により不起訴又は無罪判決等となり、医療に委ねられた者の約4割には措置症状が無く、その場合は釈放され通常生活を行なうこととなり、その後をフォロ−する体制がありませんでした。
 また、被害者等に処遇の決定過程を知る仕組みが無いことや、入院医療機関の体制の違い等で医療の提供内容にバラツキがあること、退院後の処遇を確実に継続させるための仕組みがないこと等が課題として指摘されていました。

(2)心神喪失者等に対する新たな処遇制度の制定

心神喪失者等医療観察法施行前の制度と課題

 平成15年(2003年)7月16日に公布された「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下「心神喪失者等医療観察法」)は、平成17年(2005年)7月15日に施行されました。
 心神喪失者等医療観察法の対象は、心神喪失又は心神耗弱の状態で殺人、放火、強盗等の重大な他害行為を行ったが、不起訴処分や無罪等が確定した者です。
 心神喪失、心神耗弱とは、精神障害のために善悪の区別がつかなかったり行動の制御ができなかったりするために刑事責任を問えない状態で、全く責任を問えない場合を心神喪失、限定的に責任を問える場合を心神耗弱と言います。 心神喪失者等医療観察法の目的は、法の対象となった者の円滑な社会復帰を促進することです。そのため、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に適切な処遇を決定するための手続き等を定め、継続的かつ適切な医療や必要な観察及び指導を提供し、原因となった病状の改善や同様の行為の再発防止を図ります。

心神喪失者等医療観察法制定のポイント
心神喪失者等医療観察法のポイントは、以下の通りです。
公正な手続きの実現 裁判において適切な鑑定や専門家・関係者の意見を踏まえ、最も適切な処遇を決定する。(処遇終了の時期等も含む)
専門的医療の提供 入院医療は全額国費で、国公立等の指定入院医療機関で適切な 処遇を実施する。
地域ケアの確保 退院後は指定通院医療機関で医療を継続し、保護観察所が都道府県等と連携して処遇の実施計画を定め、観察・指導等を実施する。
被害者等への配慮 被害者等に裁判所の手続き等の傍聴を認め、審判の結果を通知する仕組みを整備する。