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災害時のこころのケア
 ―心理支援,医療・福祉,生活支援―(Ver.1.0 2015.3)

内容の一例② 【手順書編】領域A:最初期P.18より抜粋

福祉避難所・医療機関への誘導
福祉避難所

 周囲の理解や配慮があっても、一般の避難所生活で本人や家族が頑張れる期間には限界があります。本人や家族が疲れきって体調を崩したりしてしまう前に、2次避難所である福祉避難所に移動する準備をしましょう。福祉避難所は、家族も一緒に避難することができます。

福祉避難所とは・・・
 ・災害時に一般の避難所生活が困難な高齢者や障害のある人など、
  何らかの特別な配慮を必要とする方が避難する施設のこと。
 ・福祉避難所は、必要に応じて開設される二次的避難所であり、
  発災直後に最初から開設されるわけではありません。

福祉避難所開設までの流れ
 1.利用希望者は、まず、一般の避難所へ避難します。
 2.市町村の行政職員が、障害や健康状態などを考慮し、
   避難対象者を選定します。
 3.選定された対象者(とその家族)を福祉避難所が受け入れます。

【災害時のこころのケア(付属文書編)】 Ⅵ−①,②参照)

精神科病院への緊急移送

 被災者がパニック状態になり避難所で暴れるなど、自傷他害の恐れがあって緊急を要する場合には、保健師などの自治体職員が中心となって精神科病院へ移送することもあり得ます。 精神科病院への緊急移送の要請には、①保健所への要請と②警察への要請の2つの方法があります。緊急を要する移送が必要になったら、避難所のリーダーは、まず管轄の保健所や保健センターに連絡をしましょう。保健所や保健センターと連絡がとれず、状況が切迫している場合は、110番通報をします。そうすれば、警察官がただちに現場に赴き、まずは当該者を保護し、移送の必要があれば警察官が保健所に連絡します。

緊急で医療機関に移送する時のポイント
 保健所や警察と連絡が取れない状況で、避難所の被災者が錯乱状態となって自傷他害の危険性が高くなり、緊急で医療機関に移送する必要が出てきた時は、避難所のスタッフは以下のポイントに留意して移送してください。ただし、このような措置は超法規的であるため、緊急事態に限ります。後日のトラブル予防のために、移送に関与した人々に証人となってもらい、状況を逐一記録しておくとよいでしょう。

1)患者を助手席に乗せない→興奮して運転を邪魔することがある
2)後部座席で、なるべく患者の両側を人(基本的に男性)が挟み、
    本人と腕を組んで手首をつかんで固定する→それほど力づくではなく
    相手の動きを封じることが可能
3)ドアにチャイルドロックをかける→興奮して運転中に飛び出そうとすることがある
4)到着したら、まず運転手が先に降りて、病院のスタッフを連れてきてから
    全員で車から降ろす→到着して車から降りた瞬間に走り去ることがある

「災害時のこころのケア」マニュアル研究班(所属・役職は作成当時)
筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学   教授   朝田 隆(代表)
筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学   准教授   宇野 裕
埼玉県立大学保健医療福祉学部精神医学   准教授   佐藤 晋爾
筑波大学医学医療系臨床医学域災害精神医学 助教    池嶋 千秋
日本社会事業大学社会事業研究所  プロジェクト研究員 野口 代 
筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学   助教    相羽 美幸
筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学         大川 恵子