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災害時のこころのケア
 ―心理支援,医療・福祉,生活支援―(Ver.1.0 2015.3)

内容の一例①  【手順書編】領域A:最初期 P.10より抜粋

 最初期において必要となる既往の精神疾患や障害のある方への対応から一部を抜粋しました。

心理支援

支援ピラミッド

 多くの人は、トラウマ体験を経験しても自然に回復していきます。このような回復力をレジリエンスといいます。安心できる居場所や、支えてくれる人たちの存在が土台となり、困難に対処できる自分の力を確認したり発見したりしながら、少しずつ日々の生活の連続性が回復されていきます。そうした積み重ねによって、生きることの意味や世界の秩序の再構築といったことも可能になっていきます。このような考え方から生まれたのが、サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)という心理支援法です。PFAは、人が元来持っている自然な回復力を引き出し、支えることを目的としています。避難所では、救護・要支援者班のスタッフがPFAを実施する役割を担います。PFAは、メンタルヘルスの専門家でなくても実践できる内容となっていますが、急性ストレス障害(ASD)の疑いがあるなど対応が難しい場合や専門的な対応が必要だと感じられる場合は、専門家の指示を仰いでください。場合によっては、医療機関に紹介する必要もあります。
 また、この時期は衣食住の確保が最優先課題であるため、被災者はまだこころのケアを受け入れる精神的余裕がありません。そのため、こころのケアを強調して支援するのではなく、安心感や衣食住の確保につながる現実的な支援を通してこころのケアを行うよう心がけましょう。
 PFAは作成した団体によって数種類のバージョンが公開されていますが、どれも根底にある考え方は、安全・安心感の提供と相手の立場に立った現実的な支援です。以下では、アメリカ国立PTSDセンターとNCTSN(※1) によって作成されたPFAの手引きを参考に、8つのポイントをまとめました。
PFAの詳細は、「PDFサイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き」を参照してください。

※1 アメリカ国立子どもトラウマティックストレス・ネットワークの略

PFAのポイント
1.被災者に近づき、活動を始める

目的:被災者の求めに応じる。あるいは、被災者に負担をかけない共感的な態度でこちらから手を差し伸べる。

 まずは自己紹介をしましょう。被災者への敬意と思いやりを示すことで、被災者とよい関係を築いたり、引き続き支援を受け入れる気持ちになってもらったりすることもできます。自己紹介では、まず自分の名前、肩書、役割を述べます。次に、「話しかけてもいいですか」と尋ねてから、「何かお役に立てることがないですか」と聞きましょう。被災者や他の支援者と交わした会話内容には、厳格な秘密保持が求められます。情報を共有する必要のない相手に会話内容を漏らしてはなりません。

(例) こんにちは。□□で活動している○○と言います。皆さんのお役に立てることはないか伺っています。少しお話してもいいですか?お名前をお聞きしてもよろしいですか?△△さんですね。お話をお聞きする前に、いますぐに必要なものがあれば教えてもらえませんか?水などは足りていますか?

2.安全と安心感

目的:当面の安全を確かなものにし、被災者が心身を休められるようにする。

 災害直後に必要なことは、安心感を取り戻すことです。まず、被災者の安全を確かなものにしてください。これは物理的な安全確保だけでなく、被災体験や被災のショックを思い出す刺激から被災者を守ることも含みます。また、被災者がこれからを見通せて安心感がもてるように、救助活動や支援事業に関する情報を提供します。行方不明者のいる家族や遺族を支えることも重要です。

(例) あなたは大変な体験をされました。今は、これ以上恐怖や悲しみを感じさせるような映像や音から、ご自分やお子さんを守った方が良いでしょう。お子さんは、テレビで災害の映像を見ただけで、不安になることがあります。災害に関するテレビを見るのを制限してあげたほうが、お子さんには楽かもしれません。大人も、辛ければ、テレビやラジオを遠ざけましょう。必要な情報が入り次第、私たちからお伝えしますので安心してくださいね。

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