Home > EBM・最近のTOPICS > 5年目を迎えたモザイク型被災地メンタルヘルス支援活動 (PAGE 2)

5年目を迎えたモザイク型被災地メンタルヘルス支援活動

海外邦人コミュニティ支援から東日本大震災被災地支援へ。
「多職種専門家による遠隔地からのメンタルヘルス支援」

 海外に居住する日本人は130万人。この20年間で倍増しました。海外在留邦人を対象とした精神医学的研究は、「精神障害の環境因」を考えるモデルであるとともに「精神医療過疎地への遠隔支援」モデルを提供します。多文化間精神医学会では世界各地の在留邦人コミュニティで生まれた邦人メンタルヘルス専門家による支援活動のネットワーク作りを後方支援してきました。中でも2006 年にニューヨークで発足したJapanese Medical Support Network (JAMSNET) http://jamsnet.org/は、在米邦人向けに医療・保健・福祉・教育等の情報提供を行う団体として広範な活動を続けています。2009年にはニューヨークからの帰国者を中心にJAMSNET東京が誕生しました。
 東日本大震災の直後から、ニューヨークと東京の両JAMSNETが緊密に連絡を取り合い、長期的なメンタルヘルス支援を日米協力して行うプロジェクトを立ち上げました。一方、日本精神科救急学会も震災直後から支援を希望するメンタルヘルス専門家の人材バンク制度を導入し、2011年度の総会において岩手県大槌町への長期的支援活動を行うことが決議されました。大槌町は、震災前から精神医療資源が寡少であり震災により壊滅的な津波被害を受けた地域です。2011年6月から日本精神科救急学会、多文化間精神医学会、JAMSNETの有志と共に着手した週末の被災地訪問は、同年9月には大槌町社会福祉協議会生活支援相談員の仮設住宅訪問に同行するアウトリーチのスタイルとしてほぼ定着しました。有り難いことに12月にはJAMSNETや米国日本人医師会の助力を得て、ニューヨークのJapan Society からの活動助成(3年間で総額約5,000万円)が決まりました。2012年2月に国の補正予算による岩手県こころのケアセンター事業(岩手医科大学に委嘱)が始動し、同年6月より毎週金曜日に上記人材バンクに登録した医師が大槌町の「震災ストレス相談」(こころのケアセンターが運営)を担当することになりました。
 このように支援人材を日本精神科救急学会、主たる活動資金を米国Japan Society、相談業務をこころのケアセンターと協力して行う、というモザイク型の被災地支援活動が始まり現在に至ります。本活動は、震災前まで精神科医療機関を持たなかった大槌町への「遠隔地からのメンタルヘルス支援」であり、これまで海外邦人コミュティを対象に行ってきた「精神医療過疎地への遠隔支援」の応用編でもあります。
 学会公募に応じた精神科医、臨床心理士、精神科看護師、精神保健福祉士約20名のうち毎週末に3名から4名が交代で全国から大槌町に参集し、多職種メンタルヘルスチームとして様々な活動を展開しています。

大槌町社会福祉協議会生活支援相談員の仮設住宅訪問