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より良い論文執筆とクリティカル・リーディングのためのガイドライン
『日常臨床に研究成果を活用するために』

国立精神・神経センター 精神保健研究所 社会精神保健部
奥村泰之,伊藤弘人

1.「報告」と「評価」

 毎日、数多くの研究が学術誌に報告されています。研究で得られた知見を、日常臨床に活用されている方は多いと思います。しかし、残念ながら、学術誌に載っているすべての研究が、信頼できる知見を報告しているわけではありません。例えば、Moher et al1) は、一流紙 (JAMA, Lancet, New England Journal of Medicine) に掲載された無作為化比較試験のうち、統計的有意差が得られなかった研究の大部分 (84%) は、適切な標本サイズを確保していないことを指摘しています。
 このような問題があるため、学術誌に載っている研究が信頼できるかを、評価することが必要となります。1993年に、無作為化比較試験の研究の質を評価するためのツールを作成するために、30名の専門家が集まりました2)。しかし、「研究の質を判断するために必要な情報が、そもそも論文に掲載されていないこと」がわかりました。そこで、まずは、「研究成果を適切に報告するためのガイドラインを作成すること」になりました2, 3)。 この事例から、日常臨床に研究成果を活用するためには、(1) 研究を報告する筆者及び査読者は、研究成果を適切に報告すること、(2) 研究報告の読者は、研究の質を評価することが重要となると考えられます (図 1)。


日常臨床に研究成果を活用するために

※ 数字)の表記は、PAGE6 「引用文献」の文献番号です。

22(09.06.05)