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うつに対する認知療法の実際とその効果

研究紹介
中度から重度のうつに対する治療としての認知療法と薬物療法との効果の比較

DeRubeis RJ, Hollon SD, Amsterdam JD, et al. Cognitive Therapy vs Medications in the treatment of moderate to severe depression. Arch Gen Psychiatry, 2005; 62: 409-416.

問い:
中度から重度のうつ病に対する認知療法の効果は薬物療法やプラセボと比較して高いか?
中度から重度のうつ病に対する治療としての認知療法と薬物療法との効果の比較

結果:
8週目の治療反応率は、抗うつ薬投与群(50%)も認知療法群(43%)もプラセボ群(25%)に比して優れていた。
16週目の治療反応率は投薬群、認知療法群共に58%で、これらの療法間で有意な違いは見られなかった。
16週目の寛解率は投薬群46%に対して認知療法群は40%であり、ペンシルバニアでの認知療法群と投薬群に有意な違いは見られなかったものの、ヴァンデルビルトでは投薬群の寛解率の方が認知療法群と比べて有意に高かった。
ペンシルバニアとヴァンデルビルトの患者の特徴とセラピストの経験の違いが寄与した可能性あり。
結論:
中重症度のうつ病に対する初期治療として認知療法は投薬と同程度に効果的であった。しかし、認知療法のこの効果の高さは、セラピストの経験や技能の高さに左右される可能性がある。
 

 この研究を実施したグループは、この研究で対象となった患者のうち、治療に反応した患者を追跡調査し、認知療法終了群を抗うつ薬投与持続群、プラセボ投与による抗うつ薬投与中止群と再発率を比較した研究も行っており、認知療法を行った群は服薬中止群と比して再発率が低く、また、服薬を継続した群と再発率の低さに差が見られなかったことにより、認知療法の効果は持続し、服薬と同等の効果があると報告しています。
 ここでご紹介した研究のように、うつ病患者を認知療法施行群と、それ以外の群に無作為に割り付けてその効果を査定する研究は特に欧米で多数行われており、それらの研究のレビューやメタアナリシスも多数行われています。これらの文献によると、うつ病患者に対して認知療法を行った場合、無治療群やプラセボ群に比較して抑うつの改善効果が高く、また薬物療法と同等、あるいはそれ以上の効果があると報告されています。また、認知療法の効果の持続性についての研究からは、認知療法施行群、あるいは認知療法と薬物療法の併用群の認知療法終了後の再発率は、薬物療法のみの群と比較して低いという結果も報告されています。