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うつに対する認知療法の実際とその効果

5.うつ病に対する認知療法の効果

 先に述べたような認知療法のアプローチは、国内外で実践が盛んに行われています。そこで、うつ病に対する認知療法の効果に関する研究について以下に紹介します。

1)効果研究の状況

 認知療法は1960年代に開発がなされ、認知療法の効果と薬物療法の効果の比較をする研究がすでに1970年代に米国で行われていました。その後も今日に至るまで、多数の効果研究が欧米で発表されています。
 ここで、認知療法の効果を測定している最近の実証的研究を一つご紹介します。認知療法は、軽度のうつに対して効果的であったとする報告が多数ありますが、ここでご紹介する論文は、2005年に発表された、中度から重度のうつに対する認知療法と抗うつ薬と偽薬(プラセボ)の効果を比較した、ランダム化比較研究です[研究紹介]。
 この研究は、中度から重度の大うつ病患者240名を、認知療法を実施する群(60名)と抗うつ薬による薬物療法を実施する群(120名)、プラセボ群(60名)にランダムに割り付け、抑うつの程度を測定することでその効果を測定しました。この研究は2施設で実施され、認知療法、薬物療法共に両方の施設で行われました。その結果、療法開始後8週間の時点での抑うつの改善効果は、認知療法と抗うつ薬による薬物療法がプラセボ投与より高かったことがわかりました。開始後16週の時点では1つの施設では認知療法による効果と薬物療法による効果に差はありませんでしたが、もう1つの施設では薬物療法群の方が認知療法群より改善されていました。この結果を著者らは、認知療法を行うセラピストの経験や技能による差であった可能性があると捉え、認知療法は(軽度のうつ病だけでなく)中度から重度のうつ病にも効果的たり得るが、セラピストの技量による部分もあると結論づけています。