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生活技能訓練(SST)の実際とその効果

東京大学大学院医学系研究科精神看護学分野
木村美枝子
宮本有紀

1.SSTとは?

 生活技能訓練(Social Skills Training; SST)は認知行動療法のひとつで、精神科における強力な心理社会的介入方法です。1994年に「入院生活技能訓練療法」として診療報酬化されて以来、普及が進みました。安西ら(2004)によると、SSTを実施している施設数はわが国で増加し続けており、2002年調査では全国361施設で実施されていると報告されています。
 SSTで扱っている社会生活技能(Social Skills)とは、社会生活を送っていく上で必要な対人技能のことを指し、以下の図1に示したような3つの構成要素からなるモデルが仮定されています。

Social Skillsモデル

 このモデルの3つの構成要素のうち、SSTでは行動面、すなわち「送信技能」の改善を重視してきました。送信技能には、1.言語的技能(発言内容、声の大きさなど)、2.非言語的技能(表情、ジェスチャーなど)が含まれます。しかし近年では、問題解決法や認知機能リハビリテーションを用い、認知面、すなわち「受信技能」や「処理技能」への介入も重視されるようになってきています。
 精神障害は生物学的脆弱性と心理社会的ストレスとの相互作用からおこるとされ、ストレスの影響を弱めたり、それに対する対処法を身に付けることによって、経過の改善につながると考えられています(ストレス脆弱性仮説)。SSTでは「対処法を身に付ける」点に着目し、社会生活技能の改善が障害自己管理や生活の質向上につながると考えています。