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精神科「デイホスピタル」とは?

6.Cochrane共同計画による急性期デイホスピタルのシステマティック・レビュー

 上の4種類のデイホスピタルで、現在最も強い根拠を持っているサービスは、急性期入院の代替として提供される急性期デイホスピタルです。本稿では急性期デイホスピタルの効果、コストおよび適応を入院治療を、質の高い手法で比較したCochrane共同計画*によるシステマティック(系統的)レビュー(Cochrane review)である、Day hospital versus admission for acute psychiatric disorders (Marshallら、2003) を紹介します。

6.1 レビューの結果

 Cochrane reviewとは、既存の無作為化比較試験を吟味し、基準に沿うものだけのデータを統合し解析するシステマティック・レビューあるいはメタアナリシスの一種です。このレビューでは、2000年12月までに出版された、9編(患者数 計1568人)のRCTが検討されました。そのうちの4編(患者数 計594人)に関しては、患者ごとのデータを入手し、統合して再検討を行いました。各RCTの研究方法の質は概して良好でした。
 精神症状と社会的機能の改善、再入院率には、両群で有意差がありませんでしたが、デイホスピタル群で精神症状の改善が有意に早く、患者の満足度が高いという結果が得られました。
 また、従来の入院患者のうち、少なくとも23%が急性期デイホスピタルに移行することができるという結果が得られました。受診中断の増加や、家族の負担増加は見られませんでした。
 治療開始からフォローアップを含めた期間で、デイホスピタルへの「入院」を含めた総入院日数は両群で同じでした。デイホスピタルのほうが一日あたりの入院コストは安かったため、デイホスピタル群のほうが総コストが安くなったと考えられました。

6.2 このレビューの限界

 このシステマティック・レビューにはいくつかの限界もあります。脱落率が20%以上あったこと、3つの施設でのみ研究が行われたこと、コストに関するデータが異なる国で異なる時点で計算されたものであること、また、治療期間の短いアメリカでの研究と、より長いイギリスでの研究を組合わせて解析していることは、結果の信頼性を下げ、結果の解釈をより難しくしています。
 これらの限界はありますが、このレビューは急性期デイホスピタルで入院患者の少なくとも23%を治療することができ、入院よりも少ないコストでより早く臨床症状を改善することができることを一貫したデータにより示し、縮小傾向にあった急性期デイホスピタルは再び脚光を浴びることになりました(Marshall, 2003)。

7.2006年に発表された無作為化比較試験(RCT)

 急性期デイホスピタルと入院を比較したRCT(参加者206人)が、2001年以降にも1編発表されています(Priebeら, 2006)。上のシステマティック・レビュー(Marshallら、2003)の結果との主な違いを以下に示します。

  1. 退院時の臨床アウトカムがデイホスピタル群で有意に良く(退院時平均BPRSがDH群1.63、入院群1.87、p=0.025, CI 0.03−0.45)、高い患者満足度が得られました。
  2. デイホスピタル入院を含む入院日数は、デイホスピタル群で55.7日、入院群で30.5日で、差は有意でした。入院中の入院・デイホスピタル・救急外来の医療コストは両群で有意差はありませんでしたが、住居等を含めた総サポートコストでは、デイホスピタル群のほうが高いという結果でした。
  3. つまり、デイホスピタル群は入院群よりも良好な臨床アウトカムを示しましたが、入院期間が長く、総サポートコストが高いという結果でした。つまり、デイホスピタルでの治療でより費用をかけると、より高いレベルで症状の改善が得られたという結果でした。コストの差分は、BPRSで0.1ポイント改善する毎に、病院関連のコスト(入院、、外来、および救急外来)が£392、その他のサポート(宿泊や地域ケアなど)を含めたコストは£1227でした。
急性期デイホスピタル(DH)の評価研究の例