Home > EBM(Evidence-Based Mental Health) > 精神科「デイホスピタル」とは? (PAGE 1)

精神科「デイホスピタル」とは?


馬場 俊明(1)(2)(3)  伊藤 弘人(1)
  (1)国立精神・神経センター 精神保健研究所 社会精神保健部
  (2)北海道大学大学院医学研究科 予防医学講座 公衆衛生学分野
  (3)財団法人 精神医学研究所附属 東京武蔵野病院

1.はじめに

 わが国で広く行われているデイケアは、国際的には「デイ・ホスピタル」という言葉の方が理解されやすいようです。ただこの二つは全く同じという訳ではありません。デイケアとデイホスピタルはどこが同じでどこが異なるのでしょうか。デイ・ホスピタルの効果は、どの程度のエビデンスが評価研究によって確かめられているのでしょうか。
 今回は、デイホスピタルを4つに分類し、その中の急性期デイホスピタルが入院治療に対して優位であるというエビデンスを紹介しました。わが国では急性期デイホスピタルの仕組みは制度化されていませんが、その他のデイホスピタル・デイケアよりも強力なエビデンスを持っており、入院治療に対する従来の入院適応患者に対する有力な診断・治療の選択肢として、国内でも導入を検討する時期に来ているではないでしょうか。

2.定義: 精神科「デイホスピタル」とは?

 デイホスピタル(day hospital)とは、日中に外来以外の形態で診断および治療を行い、夜間や週末を自宅その他の居住施設で過ごす精神保健サービスで、部分入院(partial hospitalization)とも言われます。ただし、サービス内容や対象は地域や個々のプログラムにより大きな差異があります。日本のデイケアも広義のデイホスピタルに含まれます

3.歴史:

 最古のデイホスピタルはソビエトで入院施設の不足に対応するために1930年代に考案され、その後1940年代から50年代にかけてアメリカとヨーロッパ諸国でも提供されるようになりました。1960年代にはアメリカ・イギリスを中心に脱施設化と入院費削減の流れが強まり、急速に一般化しました。1970年代にデイホスピタル数はピークに達しましたが、その後は、Assertive Community Treatment (ACT)などの在宅ケアに比べ、より施設化を引き起こしているのではないか、また高い医療費がかかっているのではないかという懸念から、減少していきました(Marshall 2003)。しかしこれまでに、デイホスピタルを支持する研究と支持しない研究の両方が発表されており、2003年にはこの問題に答えを出すため、本稿で紹介するシステマティック・レビュー(Marshallら2003)が発表されました。

デイホスピタルの定義と歴史